福岡初のスタートアップスタジオ「SEREAL」のWEBサイトリニューアルを協働で実施しました。
SEREAL branding and website同業界からの「意外」なご相談
2021年、私たちstansにとって意外なご相談の一つが、福岡のデザイン会社「SEREAL」さん(以下、SEREAL)からのご相談でした。
代表の安達さん、デザイナーの里中さんとは、個人的な繋がりでそれぞれ1-2回お会いした程度。
体験設計やアプリ・サービスのUIデザインを得意とする「デザイン会社」というのが当時の(勝手な)印象でした。
「単なるデザイン会社でなく、スタートアップスタジオとしてブランディングをしていきたい」
里中さんからの最初のメッセージでいただいた言葉です。
受注件数の増加や会社の拡大という観点では、「WEB制作会社」「アプリ開発会社」のように、すでに知られている定義を使うことが最も効率が良いはずです。
しかし、SEREALの目指す姿には「日本でよく知られている定義」は当てはまらなかった。
これまでと異なる定義を用いて自らを表現しようという姿勢に、新しい存在として生まれ変わろうとしていること、その覚悟の大きさを感じました。
そのようなリブランディングの検討の過程で、「専門としていないブランディングに自社のみで取り組まない方が良い」「客観的な視点で意見が欲しい」といった理由で、stansへのお声がけに至ったとのことです。
ゴールや互いの担当領域についてすり合わせをし、一方的な依頼でなく、デザインに携わる者同士として「共に作っていきたい」という言葉をいただきました。
SEREALからは里中さん、stansからは智原が中心となってプロジェクトがスタートしました。
インタビューで見えてきた「目指す姿」
まずは、ブランドオーナーである代表の安達さん、デザイナーとして長く在籍している里中さん、その他、新しいスタッフの方やインターン中の方も含め、様々な方へのインタビューを実施しました。
今の会社の姿についてメンバーが感じていること、新しいスタッフの方が入社前に魅力を感じた点とそのギャップなど、様々な視点から会社の現状についてお伺いしました。
また、SEREALが誕生する前から現在まで、そして未来に描いている姿も含め、代表の安達さんに対して全方向的なインタビューを実施しました。来歴、個人的な興味・嗜好に至るまで、とにかく多くの情報をインプットしました。
WEBサイトは、外部の方へ向けて会社について伝えるための手段の一つです。
そんなWEBサイトを制作する前には、まず「自分たちが何者なのか」「どう在りたいか」を定義する必要があります。
プロジェクトの目的は決して「WEBサイトの完成」ではありません。どんなプロジェクトも、その目的は会社や事業がより良い方向に向かっていくこと。インタビューのプロセスで、これまでに言語化できていなかった重要な部分が明らかになることも少なくありません。
stansでは、このプロセスをとても大切にしています。
デザイン制作をスタート
ここまでのインタビューや検討を経て、やっとWEBサイトのデザインに着手しました。
目指す方向性は両者で共有した上で、時にはビジュアルを、時には言葉を用いながら、双方を行ったり来たりする形で制作を進行しました。
通常のプロジェクトではstansが制作→クライアントにご提案という流れが一般的です。
今回は双方がデザイナーであることから、それぞれがイメージを持ち寄ってぶつけ、その中で気になるビジュアルや言葉を探していくような作業を行いました。
単にWEBサイトのデザインを作るということではなく、デザインを作りながら会社としての方向性や原点についても理解を深めつつ、多方面から一つのデザインを考えていきました。
以下は、SEREALのみなさんとビジュアル面でのイメージのすり合わせを行うために用いたイメージボードです。互いに自由に画像や言葉、リファレンスを追加しながら、ボード上でイメージを共有・ブラッシュアップしていきました。
「共闘」に現れる覚悟
彼らの最も重要な特徴のひとつが、プロジェクトへの向き合い方です。
クライアント案件では「共闘」と呼ぶ向き合い方を大事にしています。共創でなく共闘。共に創るのではなく、共に闘うこと。インタビューで何度も耳にした言葉です。
「僕らが共創なんて生ぬるい向き合い方をしていたら、世の中を変えるプロダクトは作れない。自らもリスクを取り、時にはクライアントともぶつかりながら、共に闘うことが必要だと思うんです。」
横について寄り添い、いつでも相談に乗ることは「共創」。
時には「共創」でうまく進むプロジェクトもあるかもしれません。
しかし、彼らが目指すのは「世の中を変えるプロダクトを生み出すこと」。
クライアントは、プロダクト開発にあらゆるリスクをとっています。当然、SEREALもクライアントのプロダクトについて「最高のものを作る」という大きな責任を負っています。
加えて、自らもクライアントに背中を預け、リスクを共有しながらプロダクトに向き合うこと。これがSEREALの「共闘」です。
リスクの取り方は様々で、成果報酬などの支払い形式をはじめ、出資、メンバーのアサイン(稼働の強度)など様々な部分で「リスクを取る」選択をしながらプロジェクトに関わります。
責任とリスクを負うことで、「クライアントのプロダクト」でなく「自分のプロダクト」と同等に考えられる。プロジェクトのゴールが本質的に理解でき、ゴールを理解しているので最適な取り組みができる。
SEREALは、世の中を変えるプロダクトを生むため「共闘」を続ける集団です。
同じデザイン領域に携わるものとして、身が引き締まる感覚がありました。
メインビジュアルの「円」に託したもの
論理的、効率的、機能的であることの象徴としての円。
一方で、円は循環の意味も持ち、SEREALが行う泥臭い仮説検証のサイクルの意も同時に含んでいます。
円から滲むシャドウは青と赤のカラーリング。
チームとして、一人のデザイナーとして、「論理と情緒」「主観と客観」「冷静と情熱」を兼ねた存在であることを示します。
マウスホバーにはその円が生きているかのような有機的な「吸いつき」を表現しました。
共闘という姿勢を持ち、時には論理を重視し、時には感覚的な良さを表現する。世に出る洗練された体験・ビジュアルとは裏腹に、何度も現地に通っては作り直すような泥臭い向き合い方。
インタビューやデザインプロセスを経て、まさに主観と客観を行き来しつつ積み上げた「SEREALのイメージ」をメインビジュアルの円に託しました。
世の中を変えるデザインをする「スタートアップスタジオ」
WEBサイトリニューアルは完了しましたが、当然ながらここがゴールではありません。「WEBサイトからの新規受注」も彼らにとってはゴールではありません。
すでに、サイト上でも様々なCASE STUDYが掲載され始めています。これらのプロダクトが世の中を変えていくことを、私たちもとても楽しみにしています。
PR TIMESでのリリース記事はこちら
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- Project Manager
- 里中小夏(SEREAL)
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- Creative Director
- 智原北斗
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- Designer
- 智原北斗 / 森沢紗帆
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- Frontend Engineer
- 原田知弥
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- Motion Engineer(MV)
- 千葉雅仁
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